人間が、精神的な絆(社会)を構築・維持するために作り出した観念。自然界には存在しない。
人類の社会化(約70000年前)と同時に誕生したと推測されるが、社会の複雑化 ≒ 国家の成立とともに、がぜん大きな役割を担うようになった。
原初的社会の正しさの基準はもっぱら「自分と仲間」(身内)の生存と快楽にあったと考えられる。人口増加により社会内部の秩序維持が課題となると、より普遍的な正しさをもって社会を律することが必要となる。人間の社会は、この状況に対応するために、縦型の権威の軸を生み出し、以後はこの権威を支えとして、宗教や法、常識などのかたちで、正しさを定立・拡充していった。
各社会における正しさの基準は、通常は、社会の精神的絆の在り方(家族システム)に左右され、例えば、直系家族の場合には家系の永続、共同体家族の場合には国家の安寧、緩和された共同体家族の場合には世界の平和(神の秩序?)が指導理念となる。

なお、権威の確立した社会では、構成員の(ある程度の)総意をもって、社会内に一つの正しさを定立することが可能である。しかし、権威の確立していない社会では、正しさは、利害や意見の異なる者同士の戦いによって決定されるのが通常となる。
- 正しさは社会の構築・維持のために人間が作り出した観念。自然界には存在しない
- 国家の成立とともに役割が巨大化した
- 正しさを支えるのは権威
- 権威が確立されていない社会では戦いが決する